実際に時間外労働を行っている以上、もちろんあなたは未払い残業代請求をすることができます。
ただ、営業手当の趣旨によっては、請求額が異なってくることがあります。
もし営業手当が、外回りで靴が減るとか、喫茶店で打ち合わせをする等の経費を補てんする趣旨で支払われていたのなら、時間外労働時間全てについて、営業手当とは別に残業代を請求することができます(なお営業手当は残業代計算の基礎となる賃金に含まれます)。
これに対し、営業手当が残業代の一部とする趣旨で支払われていた場合(いわゆる定額残業代)は、その月の残業代と営業手当の差額を請求することになり、営業手当とは別に残業代全額の支払いを請求することはできません(また営業手当は残業代を計算する基礎となる賃金には含めません)。
もっとも、後者の趣旨で営業手当を支払っていると認定されるためには、口頭で説明するだけでは不十分であり、就業規則や雇用契約書に時間外労働手当である旨が明示されている必要があります。また、仮に営業手当が定額残業代と認められたとすると、残業時間がたまたま少なく、実際の残業代が営業手当の額に達していなくても、その月の営業手当(定額残業代)の全額を受け取ることができます。