企業側から「残業を命じていない、勝手にやっているだけだ」と主張してくることは、実は非常に多いケースです。これに加えて、事前に申請許可をしていない残業・休日労働である、という主張もなされます。これは、残業や休日出勤のたびに上司の許可を得ることが少ないため、このような主張をしてくるものと思われます。しかし、企業としては、そのような残業などが日常化していることを認識しているはずであって、残業・休日労働を黙認しているというのが事実であるといえそうです。
この点については、実際に業務上の必要性があって残業していたかどうかによって、残業代が発生するかどうかが決まります。実際には、必要があるから残業をしているのであって、パソコンを見てネット検索をしていたという場合などの例外的な場合を除いて、労働時間であると判断される可能性が高いと思われます。
ただし、ノー残業デーが設定されていたり、はっきりと残業を禁止されているのに隠れて残業をしていた場合は、労働時間であることが否定される場合がありますので注意が必要です(東京高判平成17年3月30日労判905号)。